おもいだした、ここはトーキョー

もう6月も終わりですって。(滑り込み更新)

何てことだ。緩くゆるく月1程度は何か書けたらなぁと思っていたのにもう終わりだと?2018年が半分終わったとか本当なの?光陰矢の如しってこういうこと?

今月は休日に特に遠出をすることもなくうだうだ過ごす日が多かった。梅雨に入ったし、天気が悪いと出掛けるのも億劫になってしまうし(出不精)、蒸し暑くてたまらないから涼しくて快適なところにいたいよねという人間です。THE・怠惰。

 

とか言いながらも灯籠流しが見てみたくて、月初めに北陸へ旅行したことを思い出した。
3月頭くらいから考えていたのだけど、友達が少なすぎる上に中途半端な人見知り故に気軽に誘える人もいない(書いてて悲しくなってくるな…)から、最初から一人で行くつもりだった。というより、基本的に「人を遊びに誘う」という行為がひどく苦手だからあまり考えていなかった。結果としては当日考えていた一応の予定もがんがん変えていってしまったので、むしろ振り回さなくてよかったなと思ったりもした。 

しかしこちらが日本海側で気ままに甘味を食べ歩いてへらへらしているうちに、友人Aは恋人と婚約指輪(仮)を見に出掛け、友人Bはお相手の御両親と顔合わせを済ませたようだ。Twitterで知った。
…泣いてない。大丈夫。楽しかったもん。美味しいもの食べたもん。金箔付きの烏骨鶏の卵のソフトクリーム美味しかったもん。

 

北陸は今回が初めてだったのだが、舞台などを観るためにときどき東京へ行く。最近だとナイロン100℃『百年の秘密』を観るために行った。お勧めしてくださった方がいてよかった、観て良かったなと時間が経っても思う作品だった。

夕方の開演だったのでお昼過ぎくらいから下北沢にいてご飯を食べて、時間まで路地やお店をうろうろしてみた。

自転車を押した主婦らしき女性や犬の散歩中のおじさん、観光に来ている外国人グループ、高校生の集団、工事中の迂回路の案内が張られた壁の前で待ち合わせをしていたカップル。そんな中でスマホを片手にきょろきょろしながら歩いていたので、私が地元の人間でないことは誰が見ても明らかだった。

終演後、外に出るとそこかしこの飲み屋さんの明かりがついていて、仕事帰りなのかスーツ姿の人たちが寛いだ表情でお酒を飲んでいた。昼間とはまた違った通りの風景を横目に駅に向かい、ホテルに戻って眠りに就いた。

翌日はチェックアウトぎりぎりまでホテルで過ごし、Googleマップに印をつけていたお店を思い出したのでそこへ向かう。そのあとに調べていて気になった喫茶店の一角から、ぼんやり道行く人を眺めて次の行き先を考えていた。

汗をかいたグラスの中に残されたレモンと氷。食器が触れ合う音、女の人の笑い声。仕事の話、隣の席から聞こえるペンの音。さりげないとは言い難いボリューム流れる弦楽のBGMは、途切れてはすぐにまた別の曲へと続いていく。

店内に漂う煙草の臭いが服に付くかもしれないと気にしながらオムライスを口に運んでいる途中で、「そうだ、ここは東京だ」とふっと思った。

 

以前は東京に一人で出掛ける機会なんてなかった。地方で生まれ育った私にとっては遠い遠いほとんど他人みたいな親戚がいるくらいで、馴染みがない都市だった。『東京』でも『とうきょう』でもなく、『トーキョー』という表記がしっくり来るような場所だった。どことなく角張っていて、無機質で襟を正したよそよそしいイメージを抱いていた。

だけど新たな世界に足を突っ込んだら違う姿が見えてきた。「違う姿」というより、私が勝手に抱いていた近寄りがたさが和らいだとでも言えばいいのか。

トーキョーは人が多くて、娯楽もたくさんあって、便利だ。地方で体験できないことがあちこちに転がっている。でも普通の街だった。決して勝手に私が抱いていたような無機質さだけで成り立っているところではなかった。私と同じようにどこかの会社に勤める人がいて、晩御飯どうしようかなと考える人もいて、休みの日には友達と出掛けようと計画する人がいて、情報も人も手段も地方より遥かに密集しているだけだった。考えてみれば当たり前のことだ。でも私はそのことにあまり意識がいっていなかった。

そんな街で、時間をどう過ごすかを決めかねて喫茶店でぼーっと道行く人を眺めてオムライスを食べている自分。その気になればいつでも来ることができるのだと知った街で、昨日新幹線で来たくせに、まるで暇潰しでちょっと散歩に出てきただけであるかのように何も決めずにふらふらしている自分。それがなんだか不思議だった。

訪れる回数が増えて、ぼんやりながら知っている場所も増えて、ある種の慣れが出てきたのだろうか。喫茶店の片隅でなんとなく『トーキョー』が『東京』に近づいたように感じたのだった。 誰かの夢も現実も幻想も失望も娯楽も不安も混ざりあってあちこちに転がっている街は、明日もきっと明るく光っていることだろう。

 

舞台のチケットがとれたので11月にまた東京に行く。でもそれまでにもたぶん行くだろうなと思っている。行ってみたいお店もあるし、久しぶりに会いたいなと思う人もいるし、気になっているものもいくつかある。美味しそうなかき氷も見つけてしまったので夏の間に行きたいなと思う。一緒にはしごしてくださる方大募集してます。