金木犀が香る頃

自分の胸の内をなんと言葉にして良いのか分からないまま、今日という日がもうすぐ終わってしまいます。きっとたくさんの人からお祝いをされたことでしょう。そのたびに目尻にやわらかくしわを寄せた、あの笑顔を見せているのでしょうか。もしかしたら照れたように唇を引き結んだりするのでしょうか。

 

素敵な絵も気の利いた言葉も生み出せやしない私は、こういうときにどうすればいいか分かりません。いつも端の方でじっと他の人たちの様子を伺うばかりです。つぎはぎだらけでまだらの気持ちを見せるのもこわくて恥ずかしくて、結局お決まりの言葉を並べて終わってしまいます。それでもやはり季節がめぐり、金木犀が香り始めると「そろそろだなぁ」と考えずはいられません。私自身とは何の関係もない、だけどたぶんこれから先もまだずっと覚えているであろう1日。あなたを思う多くの人が健康としあわせを願いながら朝を迎え、昼を過ごし、夜に眠るのです。

「ありがとう」も「おめでとう」も、いつの日か直接手渡せたらと思うこともありますが、きっとそんな日は来ないでしょう。だからこうして片隅で、たどたどしい言葉を綴っています。

 

これからもどうぞ、あなたとあなたのまわりに幸福の粒が満ちた日々が続きますように。

長野博さん、46歳のお誕生日おめでとうございます。