ファンレターを書いた話

タイトルの通り、先日ファンレターデビュー(?)をした人の話。特に中身はないです。

 

5月6日月曜祝日、昼。ゴールデンウィークも終わろうとしている日生劇場のロビーの隅に、四角い箱を見つけてしまった。

だいたい劇場の入り口付近に置いてあり、観客から演者宛のプレゼントや手紙なんかを入れる箱。何かのオタクとしてあちこちを飛び回っている皆様にはお馴染み(かもしれない)例のあれである。ジャニーズではプレゼントはNGなので手紙のみとなっているらしい。観劇の際にあちらこちらで度々見てきたあれが、今回も置いてあるのを見つけてしまった。箱の後ろには“出演者全員分”と書かれた紙が掲示されている。

これまでであれば「次は書こうかな~」とぼんやり思い横目で見ながら通りすぎるだけであったが、今回はなぜかより強く「書こう」と思っていた。

 

今までファンレターを書いたことがなかった。何を書いていいか分からなかったし、ファンレターを書くにあたってのルールもよく分かっていなかった。だから今回、何を書けばいいか、どう書けばいいのか、どのくらいの文量ならばオッケーなのか、分からないことをひたすら検索した。しかし前日までに仕上がらず手元にレターセットもなかったので、開演前に誤字脱字を起こさぬよう震えながら劇場近くのカフェで書くはめになった。何事も準備は大事であると痛感した。

スマホに作った下書きの言葉を幾度も修正し、(そしてうっかり全消しするなどしながら)内容を推敲してなんとかまとめた。綺麗な色の封筒を買って、シンプルな便箋に通常の3倍くらい丁寧に文字を書いた。ほどほどの大きさの文字で便箋1枚半に収まった内容を読み直して、丁寧に畳んで、封筒に入れた。その封筒が折れないように、クリアファイルに入れて、そのクリアファイルも折れないように手帳に挟み込む。更にその手帳が鞄の中で不慮の事故に遭わないように(荷物が多いのでたまに悲惨なクラッシュ事故が起こる)鞄の中を整えた。私にとってはそのくらいの出来事だった。

そうして5月24日、無事にファンレターは日生劇場へとたどり着いた。開演前、恐る恐る近づいた箱の中には、既に可愛らしい模様や色合いの封筒がいくつか入れてある。ぱっと見えた何通かは全て、共演者であるHey!Say!JUMPの高木雄也君宛てだった。若干の手の震えを自覚しつつそっと封筒を置く。余白だらけの封筒に並んだ“長野博様”の文字をちょっと眺めてから、私はチケットを係の人に差し出して劇場の中に入っていった。ついに出してしまった、ファンレター。

 

箱に入れる瞬間、とてもどきどきしてしまった。直接渡すわけでも目の前で音読されるわけでもないのに(そんなことをされたら卒倒するし穴を掘って自ら埋まる気持ち)、私が書いたものをいつかどこかでご本人が見るのかもしれないと思うとなにか恐ろしかった。座席についてからも選んだ封筒から何まであれこれ考え始めてしまう有り様。

(宛名、ちょっと文字がよれていたかも)

(辛うじて色はついているけど装飾が何もないし、全体的に素っ気なさ過ぎたかな)

(もうちょっと何か可愛いげのある言い方をすればよかったのではないだろうか)

(あそこのあれは言葉がおかしかったかもしれない)

手元から離れた瞬間こうである。私はどうも後悔をせずにはいられない性格らしい。当然ながら「今から書き直します」は出来ないので、この反省は次回に活かすことにしようと思いながら開演を待った。

ちなみに書き上げた瞬間スマホの下書きは削除したし、舞台が始まってしまえばそちらに集中してしまうのでもう何を書いたかあやふやです。果たして私は反省を活かすことはできるのか。

 

ファンレターを書いている間、ずっと長野さんのことを考えていた。正確に言えば封筒と便箋を選んでいるときも、レジでお会計をしている間も、完成したファンレターを鞄に忍ばせて劇場に向かって歩いている時間も、ずっと長野さんのことを考えていた。

1回観劇した後でのファンレターだったので「あの場面ではレスター伯(今回の長野さんの役)はああだったな」とか、「ここの表情が良かったな」とか、パンフレットのインタビュー内容を思い出してみたりもして、最初はとにかく舞台の中の長野さんのことを考えていた。しかし途中で舞台のことが置き去りになり、単に長野さんのことを考えていた。ほやほやした気持ちになって、好きだなぁと思った。

日頃、どのくらいの数のファンレターが彼らのもとに届くのか私は知らない。今回の私のように劇場に足を運んだファンもいれば、残念ながら行けなかったファンもいるのだろう。そのうちの何人が彼らに手紙を書いているのか分からない。私のファンレターはおそらく数あるうちのたった1通、しかもこれが最初の1通。内容も奇抜なものはないし、選んだ封筒も便箋もインパクトのイの字もないようなものだ。印象になんか残らなくていい。それでも手紙を書くことで「あなたのことを応援している人間が存在していますよ」ということが伝わればなという気持ちだった。

 

長野さんが出演していた舞台『クイーン・エリザベス~輝ける王冠と秘められし愛』は5月26日に無事に千秋楽を迎えました。私は千秋楽には行けなかったけど、カーテンコールのレポとかを見て「よかったなぁ」とほっとした。鳥頭なりに頑張って思い出したいろいろだとか頭の悪そうな変態チックな目線の感想メモが入っているのでスマホは絶対に落とせない。落としたらいろいろまずい気がする。いつか綺麗に成仏させたい。